私が初めてAT互換機を購入したのは1998年の10月ごろ、EPSONDIRECTのPro-400Sというマシンでした。当時のスペックは、PentiumII 350MHz、メモリ64MB、HDD6.4GBにWindows98というもので、それまで会社のノートPC(IBM製 Pentium133MHz)を使っていた私としては、その速度に衝撃を覚えたものです。当時の価格23万円。初の夏ボーナスを使って買ったPCでした。
それから4年半経った現在、PCはとうとう5万円を割る価格まで落ちました。
デフレ万歳ヽ( ´ー`)ノ
とまあ、そんなことはどうでもいいわけで、今回紹介するのは、米国で低価格を武器に売れに売れまくっているというemachinesのパソコンです。
emachinesというと、最初に浮かぶのは、SOTECが販売した「e-one」がi-Macにそっくりだったという3年ちょい前のニュースでしょう。e-oneはemachinesが販売するi-MacもどきPCで、速攻でアップルにデザイン侵害で訴えられたのはまだ記憶に新しいところです。
それからemachinesは逆風が吹き荒れ、
- emachinesの四半期決算,大幅な減収 (ZDNet)
- emachines,PCメーカーの生存競争から脱落? (ZDNet)
- emachines,1億6100万ドルで売却 (ZDNet)
とまあ、大変な時期があったようです。そして2003年、生まれ変わったemachinesは、超低価格PCを引っさげPC業界に帰ってきました。
さて、emachinesの販売するPCラインナップ(03年2月現在)はいたってシンプルで、
- N4010(Pen4 2.0A/256MB/100GB/コンボドライブ/XP HOME/94,800円)
- N2040(CEL 2.0/128MB/40GB/CD-RW/XP HOME/59,800円)
- N1845(CEL 1.8/128MB/40GB/CD-ROM/XP PRO/59,800円)
- N1840(CEL 1.8/128MB/40GB/CD-ROM/XP HOME/49,800円)
※カッコ内は、「CPU/メモリ(DDR PC2100)/HDD(ATA100・5400rpm)/光学ドライブ/OS/価格(ディスプレイなし)」
の4つだけとなっています。今回のレポートはこのうちの「N2040」を取り上げたいと思います。
N2040はemachinesのラインナップの中でメインとなるであろうモデルです。詳細なスペックは、
CPU | Intel Celeronプロセッサ 2.0GHz | |
メモリ | Samsung DDR SDRAM 128MB(PC-2100) | |
HDD | 40GB(ATA100/5400rpm) | |
CD | 48倍速CD-RW/R | |
マザー | FIC VC37(intel845GL) | |
OS | Windows XP Home Edition | |
増設 | AGPスロットx0 PCIスロットx3(うちひとつはモデム) |
こんな感じです。写真についている液晶ディスプレイは59,800円モデルにはありません。
CPUはCeleronの2.0GHz(FSB400)で、チップセットはIntel845GLです。FSBは400までしか対応しないため、FSB533のPentium4は使用できません。
ビデオチップは845GL内蔵で、AGPスロットがないためビデオカードの増設が不可能なのが痛いです。3Dゲームなどはまったく駄目駄目です。ただ、このPCを買おうとする人にAGP増設が必要かと考えると、そうでもないのかもしれません。
HDDは40GBと少なめですが、ネット・メール+オフィスアプリ程度の使い方なら問題ないと思われます(ただし、オフィスアプリは付属してません)。起動時の速度などを考えると、7200rpmくらいのHDDが欲しいとも思います。40GBでは、DV編集とか、MPEGキャプチャを始めるとあっという間になくなりそうですが、AGPスロット同様、このPCでDV編集をしようとする人がどのくらい(略w
入出力関係としては、PCIスロットが3つ、そのうち1つはモデムカードが刺さっています。電話でインターネットをがんばっている人にはありがたいですね。LANインターフェースは100/10Mbpsのものがマザーボードに標準装備です。USBは2.0対応で、6ポートあります。
メモリは、標準で128MBのPC2100のDDR-SDRAM 128MBが1本刺さっています。正直、WinXPを快適に動作させるには、最低でも256MBは欲しいところです。
光学ドライブは、48倍速のCD-RWドライブとなっています。上級グレードには、コンボドライブがついています。59,800円だと、このくらいが限界でしょうか。
さて、ちょっと下賎ですが、N2040で使用されているパーツなどを概算すると、
パーツ名
|
市販価格(想像)
|
Celeron 2.0GHz
|
10,000円 |
DDR SDRAM 128MB
|
3,500円
|
40GBハードディスク
|
7,000円
|
48倍速CD-RWドライブ
|
7,000円
|
FIC VC37
|
15,000円
|
ケース
|
5,000円
|
キーボード
|
3,000円
|
マウス
|
1,000円
|
スピーカー
|
1,500円
|
Windows XP Home OEM
|
12,000円
|
合計
|
65,000円
|
こんなところでしょうか。これらのパーツ+組立で54,800円というのは、それなりに安いと思われます。
さて、想像でしゃべっててもしかたないので、とりあえず使用してみます。まず組み立て。といってもPCは完成品なので、キーボードやマウス、スピーカーに電源をつなぐだけ。ポスターのような組立説明書もついているので、初心者でも迷うことはないでしょう。
ササっと組み上げスイッチオン。騒音は中程度ですね。本体はケースファンは付属せず、電源ファンとCPUファンで排気する構造です。
起動して、とりあえずネットサーフィン程度を実行してみましたが、SXGA使用では画面効果ONだとウインドウ切替時などにもたつくことがあります。フェード効果などをオフにして、壁紙をなしにするのは基本でしょう。3Dゲーム?無理無理(笑)。我が家の19インチCRTとつないでSXGA表示させると、文字のフォーカスが(以前使用していたG400と比較して)若干甘めに感じました。
メモリ128MBでXPはちゃんと動くのか?と思いましたが、それほど苦痛を感じることなく動作しました。ただし、様々なアプリを導入したり、常駐のウイルスソフトをインストールしたりすると、恐らくかなりのスワップが発生して、快適とは言いがたい状態になると思われます。とりあえず、メモリ+256くらいは必須でしょうか。
次にHDBENCHでベンチマーク取ってみました。比較対象は、
- SONY VAIO LX82(ホームPC代表)
- HP e-pc40(超省スペース企業向けPC代表)
- IBM IntelliStation M Pro(3DCAD用:あくまでも参考として 笑)
結果は以下のとおり。
機種 | emachines N2040 | SONY VAIO LX82 | HP e-pc40 | IBM Intelli Station(参考) |
発売時価格 | 59,800円 | 約25万円 | 115,000円 | 100万くらい?(笑) |
CPU | Celeron 2.0GHz | PentiumIII 1BGHz | ← | Xeon 2.0GHz |
メモリ | DDR 128MB(PC2100) | SDRAM 768MB(PC133) | SDRAM376MB(PC133) | RDRAM 1GB(PC800) |
HDD | ATA100 5400rpm | ← | ← | U160SCSI 1000rpm |
チップセット | i845GL | SiS630 | i815E | i860 |
ビデオ | チップセット内蔵 | ← | ← | WildcatII 5110 |
OS | WindowsXP Home SP1 | Windows2000 SP3 | Windows2000 SP3 | WindowsNT4.0 SP5 |
ALL | 25911 | 17015 | 15900 | 35396 |
Integer | 45374 | 45552 | 45449 | 45948 |
Float | 76148 | 45377 | 45276 | 76606 |
MemoryR | 77946 | 11311 | 10441 | 84726 |
MemoryW | 25582 | 8237 | 10023 | 56365 |
MemoryRW | 52079 | 14948 | 15967 | 104949 |
DirectDraw | 28 | 11 | 0 | 12 |
Rectangle | 7155 | 9152 | 6778 | 43391 |
Text | 7149 | 1975 | 2556 | 26741 |
Ellipse | 3760 | 3630 | 3412 | 8230 |
Bitblt | 28 | 29 | 22 | 9 |
Read | 35032 | 29374 | 24088 | 47102 |
Write | 35992 | 28397 | 22436 | 35008 |
RRead | 8843 | 8299 | 7446 | 23078 |
RWrite | 7541 | 7164 | 10620 | 3339 |
さすが安いとはいえ、最新PCです。一昔前のPCには負けないようです(笑)。
クロック数に物を言わせ、浮動小数点部門では、Xeon2.0GHzとほぼ同値です。メモリのRWはDDRだけあり、SDRAMを寄せつけません。さすがにRDRAMにはかなわないようですが。ビデオ値は、まあ内蔵ですからこんなもんでしょう。Textの結果がi815やSiS630と比較すると優秀ですね。HDD速度も悪くないですが、ランダムWriteの値が、e-pc40が1位とはどういうことでしょう(笑)。ぶっちぎりであるべきIntelliStationがなぜか3339とか出てますし(笑)。IntelliStationはNT(つまりDirectX3.0相当)という点が響いたのでしょうか。最強最速のはずですが、イマイチ振るわない結果に。
昔のPCと比べてもあまり意味はありませんが、身近に対象となるPCが無いのでご容赦ください(笑)。
最後に一つ、emachinesの長所として、「充実したサポート体制」が上げられます。
まず、1年間は(当然ですが)パーツの保証および、サポートが受けられます。故障パーツの交換も、「修理センターに発送して、修理してもらう」「パーツを発送してもらい、自分で交換する」「窓口が近ければ、持込して修理してもらう」の3つを選択できます。通常メーカーPCが壊れた場合、PC全部を持っていかれることが多いです。たとえばVAIOのCDドライブが壊れた場合、「CDドライブ壊れたから直して」と、ドライブだけはずして店に持っていっても直してくれません。emachinesではそれが可能になります。自作できる技術のある人にとって、この保証はありがたい点でしょう。
ちなみにLX82のSM-308が故障した場合、修理費は約6万円です。まさにボッタクリ。
サポートは、電話とメールとチャット(!)という3方式のうち、好きな方法を選べます。電話とチャットについては、朝6時から夜24時まで、年中無休という徹底振り(ある程度技術のある人ならサポートは不要となるかもしれませんが)。
そんなわけで、N2040の雰囲気はつかんでいただけたかと思います。このPCの購買層は、独断と偏見で推測するに「自作のベース機が欲しい人」「1台目のPCを持っていて、代替したい人」という感じがします。
まったくPC初心者でも組み立て→使用は可能ですが、何もアプリケーションがついていないのが厳しいかもしれません。ワープロ(ワードパッドは除く)すら出来ないわけですからね。対して、自作ベースにしたい人なんかは、届いたらすぐバラすでしょう(笑)。で、必要なパーツは付け替えてさっさと自分好みに仕立て上げてしまう。代替したい人は、以前のPC用にアプリケーションはいくつか持っていると思いますので、それを新しいものに移設して使うことが出来ます(1台目にインストールしたまま2台目にインストールするのはライセンス違反w)。
03年2月21日追記:
メモリの少なさだけはどうにも我慢できなかったので、PC-2700 512MBを2本買ってしまいました。845GLでは、PC-2100までしか対応していないので、動作は2100です。ですが、スワップ発生のたびに待たされていた処理が、サクっと動くようになり快適です。
またHDDは、前PCで使っていたDTLA307030(7200rpm ATA100)を移設しました。OSはリカバリCDしかなく、新HDDにリカバリできるかどうかわからなかったので、これも前PCで使っていたWindows2000をインストールしてしまいました(笑)。Win2000のほうが処理は軽い気がしますが、どうも前のPentiumIII 1GHzのほうが速かったような・・・もう少し調査してみます(笑)。
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