プリンストンテクノロジー社より発売されているワイヤレスサラウンドヘッドフォンシステム「REVEUR(レヴール)」。ラッキーにも、無償モニターに当選したので、さっそくレビューを行いたいと思う。なお、DVDビデオ鑑賞用のレビューには「トップガン」を選択した。レビューPC環境は、管理人の部屋を参照されたい。
「REVEUR」は、ワイヤレスヘッドフォンを備えた、バーチャルマルチサウンド回路内蔵のヘッドフォンサラウンドシステムである。ここで間違え易いのだが、SONYのMDRシリーズにあるような、「ドルビーヘッドフォンシステム」は搭載していない。
ユニット本体の大きさは、だいたい辞書1冊分程度である。PCの横に縦置きしておけば、それほど邪魔にはならない。前面には、電源ボタン、デコード処理の切り替えボタンと、デジタル/アナログINPUT切り替えボタン、それにヘッドフォン入力端子がある。各ボタンは少々安っぽいが、まあ価格(\21,800)を考えると、そんなもんだろうと納得も行く。ただし、電源を入れると、ネオン管のごとく青く光る、上部のセンサー下の社名ロゴ(?)はどうもいただけない。映画鑑賞時は部屋を暗くするため、目の前に妙なヤンキー車がいるようで気になる。
背面には入出力端子がついている。角型光入力端子が1系統、RCAのライン入力(ステレオ)端子が2系統備わっている。同軸デジタルは無い。光ケーブルとステレオ用アナログケーブルは付属している。
ヘッドフォンユニットは、ワイヤレスで制御、単4電池2本で48時間動作とされている。重さはそれほどではなく、2時間程度の映画でかぶっていても首が凝るようなことはなかった。ワイヤレスの有効範囲は11メートルとされている。8畳程度の部屋なら問題なく音声は届くだろう。
さて、実際に試聴した感想である。まず、デコーダーユニットに電源を接続、サウンドカードであるDigital-XGの光出力端子からREVEURの光入力まで添付の光ケーブルで接続、ヘッドフォンに電池を入れ、スイッチを入れた。すると、「サーーーー」というノイズが突如飛び込んできた。なんだこれは。PCからは一切の音声は出力されていない。にもかかわらず、かなりのレベルでヒスノイズが出力されていた。
しばし呆然とした後、気を取り直してノイズの原因を探ってみた。考えられる原因は
  1. サウンドカードからすでにノイズが出ている
  2. ケーブル不良(安物っぽい)
  3. デコーダーユニットのデジタルINが悪い
  4. デコーダーユニットの内部でノイズ発生
  5. ユニットとヘッドフォン間のワイヤレス通信でノイズ
の5つだろうか。
まず1についてだが、サウンドカードとデコーダーユニットをアナログ接続すると、ノイズは嘘のように消えた。また、サウンドカードの同軸から接続されているAVアンプにはノイズは乗っていない。ということは、サウンドボードの光出力端子が疑わしいということになる。AVアンプの光出力に接続して試してみたい。2については、別途ケーブルを買ってこなければいけないが、光ケーブルは性能の割にデジタル保護代金が入っていて高いため、しばらく躊躇している。購入次第テストを行いたい。3についても、ケーブル購入で確かめようと考えている。4については、1同様アナログではノイズが乗らないため、ユニット内部の問題ではないと判断した。5については、別途、ワイヤレスでない通常のヘッドフォンを購入し接続してみたが、ノイズの量は変わらなかった。よって、ワイヤレスが原因でもなさそうだ。
さて、ヒスノイズについては、とりあえずアナログ接続させることで対応はできた。気を取り直して、DVDを再生させてみる。すると、聞いているとときどき「ブチッ」というノイズが入ってくる。普通のヘッドフォンを接続すると発生しないため、どうやら赤外線通信時のノイズのようだ。オートノイズキャンセラー機能がついているらしいが、ひょっとするとこの機能が逆効果を生み出しているかもしれない。OFFにするテストはまだ未実行だ。
ということで、アナログでヘッドフォンを接続してさらに試聴続行。「REVEUR」には3種類のサラウンド効果が備わっている。
  1. マルチチャンネル
  2. サラウンド
  3. ステレオ
マルチチャンネルでは、確かに音声を後方から感じることができた。DVD再生ソフトにドルビーヘッドフォン機能がついているなら、これをONにすればさらなるサラウンド効果を得ることができるだろう。サラウンドモードだが、各音にエコーのようなエフェクトがかけられ、迫力は増す。しかし、音質がどうにも悪い。音割れのような雰囲気である。長時間聞くにはやや酷な音質だ。最後にステレオだが、このモードを選ぶなら、おとなしくヘッドフォンをサウンドカードにつないだほうがノイズが少ないような気がする。ワイヤレスヘッドフォンを使用して、はじめて必要になるモードだろう。
総合的に見て、コンセプトはいいが、ハードの完成度がいま一歩と感じた。とくに肝心のワイヤレスヘッドフォンにノイズが載るのはいただけない。ヒスノイズについてはケーブルが原因ではないかと踏んでいるが(予測)、だとすれば、安物の光ケーブルは添付するのを止めて価格を下げるか、1000円上乗せでもよいから、もっとよいケーブルを、となる。もしくは同軸にすれば、ケーブルの選択肢も増える。(上述のように、光ケーブルは著作権がらみで単価が高い)。原因がケーブルでない場合はお手上げになる可能性もある。DigitalXGよりもノイズの無いサウンドボードとなると、ハイエンドクラスのサウンドカードでないと無理である。
しかし、2万円以下(実売17000円程度)で、デジタル接続のワイヤレスヘッドフォンが購入できるというのは、ユーザーとしては、ひとつの選択肢に加えても良いのではないか。ノイズ対策を含む改良が加えられれば、魅力的な製品になることは間違いないだろう。
PRINCETON TECHNOLOGY REVEUR仕様
一般仕様
型番 PSS-REV
赤外線波長 840nm
変調方式 周波数変調
搬送波周波数 右チャンネル・2.8MHz/左チャンネル・2.3MHz
受信距離 約11m(正面軸上)
受信有効角度 約120度(左右方向/受光部中心)
※高音質範囲:約60度
再生周波数帯域 0Hz~23,000Hz
ひずみ率 1%以下(ステレオモード時)
 
デコーダユニット
電源 DC12V(専用ACアダプターを使用)
音声入出力端子 光デジタル入力(角型)×1系統
アナログ入力(ピンジャック、左/右)×2系統
ヘッドフォン出力端子φ5mmステレオピンジャック
外寸法 幅5.9cm×奥行17.5cm×高さ17cm
質量 315g(接続コード、ACアダプター含まず)
 
ヘッドフォン
ヘッドフォン型式 オープンエアーダイナミック型
使用ユニット 口径40mm
電源 単4形乾電池/単4形充電池
電池持続時間 約48時間(使用頻度によって変わります)
質量 230g(単4形乾電池含まず)
 
付属品
ユーザー登録はがき
保証書
取扱説明書
単4形マンガン電池(2個)
単4形ニカド充電池(2個)
オーディオケーブル(103cm)
光デジタルケーブル(光角型プラグ⇔光角型プラグ、110cm)