0.前書き

PowerDVD 8に引き続き、PowerDVD 9をもサイバーリンク様よりお借りさせていただきました。
この場を借りてお礼申し上げます。
ただし、レビューに手心は加えませんw

 

1.PowerDVD 9の概要

サイバーリンク、HDオーディオ対応の再生ソフト「PowerDVD 9」
-HW再生支援で低スペックPCでもBlu-ray再生可能
(AV Watch)

サイバーリンク株式会社は、Blu-ray Discビデオの再生に対応し、DTS-HD Master AudioなどのHDオーディオもサポート予定の再生ソフト「PowerDVD 9」を発売する。ダウンロード版は3月2日、パッケージ版は4月の発売を予定している。ダウンロード版の価格は下表の通り。なお、パッケージ版の価格は未定で、Deluxeのパッケージ版は用意されない。対応OSはWindows XP/Vista。

サイバーリンク、「PowerDVD 9」パッケージ版を4月17日発売
-BD再生/HW再生支援対応。HDオーディオもサポート予定
(AV Watch)

サイバーリンク株式会社は、Blu-ray Discビデオ再生にも対応した「PowerDVD 9」のパッケージ版の発売日を4月17日に決定した。価格は上位版のUltraが13,440円、BD非対応のStandardが5,800円、Ultraのアップグレード版が11,340円。対応OSはWindows XP/Vista。

製品種類 ダウンロード版価格 パッケージ版価格
PowerDVD 9 Ultra 11,800円 13,440円
PowerDVD 9 Ultra アップグレード版 8,800円 11,340円
PowerDVD 9 Deluxe 9,800円  
PowerDVD 9 Deluxe アップグレード版 6,800円  
PowerDVD 9 Standard 4,900円 5,800円

PowerDVD 8と比較して、1,000円ほど安くなっています。
機能としては、 Blu-rayビデオ再生やHDオーディオ(DTS-HD、Dolby TrueHD)対応、MovieRemix機能など、PowerDVD 8から引き継いだ点が多い一方で、目玉としてはバンドル版PowerDVD 8にのみ搭載されていた、DVDアップスケーリング機能「TrueTheater HD(TTHD)」「TrueTheater Motion(TTM)」が標準搭載された点があります。

TTHDやTTMは、「TrueTheater Technology」のひとつです。
で、そのTrueTheater Technologyとは、以下の5つの機能を指します。(サイバーリンクの説明ページより)

今回はこれらのうち、前述したTTHDとTTMをメインにレビューしたいと思います。

 

2.再生時の負荷状況

PowerDVD 8レビューでもやった、再生時の負荷チェックです。
TrueTheater HD有効/無効で挙動が大きく異なるため、別項目で比較しました。

項目 PowerDVD 7 PowerDVD 8 PowerDVD 9
(TTHD無効)
PowerDVD 9
(TTHD有効)
起動時間 2~3秒 4~5秒 3~4秒 3~4秒
メモリ占有量(DVD、再生支援なし) 60~70MB 90~110MB 110~130MB 140~150MB
メモリ占有量(DVD、再生支援あり) 未計測 未計測 100~101MB
CPU負荷(DVD、再生支援なし) 8~10% 5~10% 15~20% 25~35%
CPU負荷(DVD、再生支援あり) 0~3% 3~10% 3~10%
CPU負荷(HDビデオ、再生支援なし) 28~31% 16~21% 15~26%
CPU負荷(HDビデオ、再生支援あり) 16~21% 4~7% 5~15%

再生環境:C2D E6600(2.4GHz)、PC6400 DDR2 4GB、RADEON HD 2600XT Ultimate、FP241VW(1920x1200) 

大きく異なるのは、メモリ占有量でしょうか。
PowerDVD 8と比較して、TTHD無効時でも、20MB程度多く使用しており、TTHD有効にすると、150MBを超えます。
とはいえ、いまどきのPCはギガバイトレベルのメモリを積んでいるでしょうから、大きな問題にはならないと思われます。
また、ATI VivoをONにすると、メモリ占有量は100MBでほぼ安定となります。

なお、TTHDは、「DVDビデオ再生時」以外には有効になりません。
DVDビデオ以外では、DVDビデオ準拠のMPEG2ファイル再生時であろうとも有効にはならないようです。
ハードウェア再生支援を使っている場合も、TTHD、TTMを使用することはできません。

 

3.再生時の画質

まず、TTHDおよびTTM無効時の再生画質については、PowerDVD 8との比較でほとんど差異を見つけることができませんでした。
(レビュー者がヘボいというのも多分にあるとは思いますが・・・)
したがって、ここではTTMとTTHD有効時にどうなるかという点について記述します。


TTMとTTHDは、設定ウインドウの「動画」タブで設定できます。
(DVD再生時、ハードウェアアクセラレーションOFFのときのみ有効)

 

■TrueTheater HD

この機能の説明は、サイバーリンクによれば、以下の通り。

TrueTheater HDはまるで480ピクセルの標準解像度映像を1080ピクセルの高解像度ビデオへと進化させます。粗い解像度に表れがちなジャギーを取り除き、精細な映像へと蘇らせます。TrueTheater HDは標準的な解像度を高解像度へと変身させるのにぴったりなソリューションです。また、ユーザはこの変化をリアルタイムで見比べながら実感することが可能です。

そういうわけで、実際の画面を見てみるのが良いかと。
ソースは、BSデジタルで録画した劇場版「機動戦士Ζガンダム」を、TMPGEncでDVD化したものと、「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド」です。
どちらも、左側がオリジナルで、右側がTTHDをかけたものとなっています。
 


原寸大(1920幅)はこちら

 
原寸大(1920幅)はこちら


原寸大(1920幅)はこちら

いわゆる画像処理ソフトにおける「シャープネス」と「コントラスト調整」を入れた感じとなります。
元の映像が高画質であれば、効果があると思われますが、元の映像にMPEGノイズなどが乗っていると、思い切りそれが強調されて汚くなります。
今回のΖガンダムは、2時間モノを4GBに抑え込んでいるので、品質は良いとは言えませんね。
一方で、海賊映画のほうは、女性の服装が黒つぶれしている部分がコントラスト強調で浮かび上がっている点は良いところです。

効果は感じられますが、プラス方向に働くかどうかは、好みの問題と元ソースの品質による、というのが結論です。

 

■TrueTheater Motion

この機能の説明は、

'TrueTheater Motion'はフレームレートのコンバージョンを行いよりスムーズに再生しますTrueTheater Motionは60fpsから72fpsまでのフレームをサポートし、仮想的なフレームを作り出し、その仮想フレームをオリジナルのフレームに挿入することで実現します。その結果、特に大画面における映像の再生においてよりスムーズな再生を体感することができます。

とあります。
最近の液晶テレビに搭載されている黒フレームを挿入する倍速処理とはまた違ったものですね。
フレームとフレームの間に、独自で補間したイメージを挿入するということですが・・・

とりあえず、フレームがどう変わっているか見せますと、

エゥーゴのアポリー中尉が操縦するゼータガンダム(ウェーブライダー)が登場するシーン。
徐々に近づいてくるゼータが6枚のイメージで描かれています。
これと全く同じシーンを、TTM有効にしてみますと、以下のようになります。




わかりましたか?
6コマで描かれたオリジナルのイメージに対して、およそ倍のコマが補間されていますね。
想像ですけど(誰にでもわかると思うけどw)、こういうことかと。

前後のイメージを合成したコマ(赤い枠のイメージ)をオリジナルのコマの間に割り込ませる。
こうすることで、映像の滑らかさがアップするということでしょう。

実際に映像で見てみると、確かに滑らかさは向上しています。
ヌルヌル動く感じですね。
画面全体が横にパンされるような映像では、顕著に効果を得られます。

ただし、これもTTHD同様、元の映像がそれなりに滑らかになっていないとダメです。
古いアニメ映画(例:劇場版ファーストガンダムw)では、不自然な滑らかさが強調され、不快になります。

 

4.総評

MovieRemix機能は相変わらず意味不明なので今回使っていませんw
あと、サウンド機能はバージョン8から大きな変更はなさそうなので、省略(怠慢?)とします。

で、今回のPowerDVD 9におけるTTHDとTTM機能。
ネットで事前予習(というか、PowerDVD 8バンドル版の使用レビューなど)したところでは、どうも大したことないという先入観を持ってました。
しかし、実際に使用してみると、それなりに高画質なソースであれば、まずまずきれいにアップスケーリングしてくれます。
PS3や東芝レコーダーのようにはいかないと思いますが、特にTTMの滑らかなスクロール補間は一見の価値ありかと。
ソースを選ぶ点はやむを得ないでしょう。
万能な高画質スケーラーというのは本来非常に高価なもののはずです(そうなのか?w)。(こういうのとか、こういうの
それを、1万円かそこらのソフトウェアの付属機能で(曲がりなりにも)実現している、というのはすごいことかもしれませんね。