0.前書き

サイバーリンク殿より、PowerDVD 8をお借りさせていただきました。
最近は、DVD再生ソフトも熟成されていることや、Media Player ClassicなどフリーでMPEG2やDVDを再生できるソフトも増えたことから、この手のソフトに興味がうせていたのは事実ですが、せっかく最新ソフトをお借りしたので、使用感などを試してみたいと思います。

 

1.PowerDVD 8の概要

くどくど説明しても仕方ないので、AV Watchさんの記事を参照くださいw

サイバーリンク、PowerDVD 8のパッケージ版を6月発売(AV Watch)

サイバーリンク株式会社 は、BD/DVDビデオ対応の再生ソフト「PowerDVD 8」のパッケージ版を6月下旬に発売する。なお、ダウンロード版は4月14日より既に販売を開始している。BD再生に対応するUltraと、非対応のDeluxeの2バージョンを用意しており、価格は下表の通り。対応OSはWindows XP/Vista。

製品名 販売方式 通常版価格 アップグレード版
価格
PowerDVD 8 Ultra パッケージ版 14,800円 12,800円
ダウンロード版 13,980円 9,880円
PowerDVD 8 Deluxe パッケージ版 11,800円 9,480円
ダウンロード版 9,980円 7,200円

ということで、08年4月から発売されているPowerDVD 8。
Ultraバージョンは、Blu-rayビデオの再生も可能です。

しかし、PowerDVD VR-Xが5,800円だったことを考えると、結構高くなったもんですPowerDVD。
機能を削ったOEM版が単体で1,000円程度で売られていることを考えると、ある意味棲み分けはできているわけですが。

 

2.再生時の負荷状況

既に持っている、PowerDVD 7と比較してみます。
スペックでわかりそうな観点での比較は以下の通り。
  PowerDVD 7 PowerDVD 8
起動時間 2~3秒 4~5秒
メモリ占有量(DVD) 60~70MB 90~110MB
CPU負荷(DVD再生時、再生支援なし) 8~10% 5~10%
CPU負荷(DVD再生時、再生支援あり) 0~3% 3~10%
CPU負荷(HDビデオ再生時、再生支援なし) 28~31% 16~21%
CPU負荷(HDビデオ再生時、再生支援あり) 16~21% 4~7%

【条件】
・カラープロファイル使用
・Read-it-Clearly使用
・ハードウェアデインターレースを使用
・地上デジタル放送(アニメ)を録画したMPEG2-TS
・C2D E6600(2.4GHz)、PC6400 DDR2 4GB、RADEON HD 2600XT Ultimate

結果を見ると、PowerDVD 8は7と比較して、メモリ占有量は増加したものの、HDビデオ再生時のCPU負荷が低下しています。
再生支援機能(ATI Avivo)を使用したときのCPU負荷低減は、Core2DuoレベルのCPUを使用していても顕著であり、フルHDのMPEG2-TSファイル再生をさせても、CPU負荷はほとんど上がりません。
「ながら視聴」をしたい人には有効かと思われます。

 

3.映像(画質)

続いて、再生時の画質をチェックしてみます。
比較対象として、ATI Vivo(ハードウェア再生支援)は無効にした状態で、SD映像のDVDと、HD映像のBSデジタルを録画したTSファイルを再生させました。
DVDは、「機動戦士ガンダム メモリアルBOX」から、有名なシーンを24.1インチディスプレイいっぱいに拡大して再生させてみました。


PowerDVD 7


PowerDVD 8

なんとなく色合いはPowerDVD 7のほうがコントラスト高い気がしますが、この辺は設定でどうにでもなるので気にしないことにしますw
さて、縮小したイメージではわからないので、ガンダムの胴体部分を拡大してみます。


PowerDVD 7


PowerDVD 8

胴体の赤い部分に注目。
PowerDVD 7の映像は、ジャギーが強く出ているのに対して、PowerDVD 8は目立たなくなっています。
そのほかにも、黄色のフィン部分やコクピット部分で、PowerDVD 7では潰れている部分がPowerDVD 8では見えるようになっていたりします。

次に、HD映像(MPEG2-TSファイル)再生での比較です。


PowerDVD 7


PowerDVD 8

こちらも、日曜の「日」の字あたりを拡大表示させてみます。


PowerDVD 7


PowerDVD 8

こちらは、SD映像ほどの差は出ないようです。

これらから、 SD映像を大型ディスプレイで拡大して再生する場合、PowerDVD 8のほうがメリットが多いと言えます。
また、HD映像の再生は、前述したCPU負荷の面を除けばPowerDVD 7と8で、それほど大きな違いは無いように見えます。

 

4.音声

PowerDVD 8には様々な音響効果が搭載されています。
とりあえず、設定画面の一覧を。


音声設定


音声出力アドバンス設定。ステレオ(2スピーカー)のとき。


音声出力アドバンス設定。4スピーカー以上のとき。

載せ忘れましたが、上記以外にもヘッドフォン設定の場合、Dolby Headphoneについて設定するウインドウがアドバンス設定にあります。

音声出力設定
ヘッドフォン
2スピーカ出力
4スピーカー出力以上
1.Stereo
 
2.Dolby Headphone
 
 
3.Dolby Surround Compatible Downmix
 

(マルチchソース)
 
4.Dolby Virtual Speaker
 
 
5.TrueTheater Surround
 

6.Dolby ProLogic IIx

 
 
7.Neo:6
 
 

以上の7モードが、音響効果となります。
我が家には2chスピーカーしかありませんので、1、3~5までの簡単な印象を書きますと、

音声出力設定 印象
1.Stereo ふつうのステレオ。
3.Dolby Surround Compatible Downmix(DSCD) 1.Stereoよりは広がりはある。
昔の「ドルビーサラウンド」ではないかと。
4.Dolby Virtual Speaker(DVS) 音の広がり、音位は、3.よりもかなり強く感じられる。
やや残響がきついが、気にならなければお勧め。
5.TrueTheater Surround(TTS) 中音域がこもった音になる。
音の広がりは、DVS>TTS≒DSCD。
後ろから音がする感じはあまり無い。

5.1ch以上のマルチサラウンド音声を収録したタイトルを再生する場合、音の広がりと移動を感じられる4.Dolby Vitrual Speakerが、個人的に好みです。
3~5のエフェクトは、原音をDSPでいじっていることになるので、いわゆる音楽を聴く(コンサートなどのサラウンド感を楽しみたい場合は別)ケースにおいては、ステレオで楽しむのが良いように思われます。

また、これらの設定に関係なく、PowerDVD 8ではなぜか「プチノイズ」が出力された音声に乗っています。
ソースには無いノイズのため、おそらくPwerDVD 8の音声関係のフィルタに問題があるのではないかと踏んでいます。
(2chのPowerDVDスレでは、「CLHBMixer.ax(CyberLink HD/BD Mixer)」がバグ?を抱えており、これを古いバージョンに変更すれば直ったともあります。)

 

5.Movie Remix

今回、PowerDVD 8には、「Movie Remix」 という機能が追加されました。
どういう機能かというと、、、こういうことだそうです(手抜きw

たとえば、DVDガンダムの1シーンに対して、

このように、エフェクトを加えることができたりするそうなのです。
イメージの吹き出しのほかに、40通りのオブジェクトから選択したり、テキストを入れ込んだりすることが可能です。

しかし、一通り触ってみましたが、何が面白いのか理解できません
この機能はどういったユーザ層にどういう嬉しさを提供してくれるんでしょうか?

まず、そもそも市販の映画をパロってやろうという人がどのくらいいるのか、です。
一部YoutubeにMAD動画を投稿しているような連中はいますけど、彼らはPowerDVDのMovie Remix機能は使わないでしょう。
なぜなら、非常に操作性に欠けるからです。

さらに、編集した動画はアップロード可能ですが、再生できるのは、同じDVDをもっている人だけであり、なおかつそのディスクを挿入しないと動画を見られません。
いちいちアップロードされた動画を見るために、該当するタイトルを引っ張り出してきて再生させなきゃならん、なんて面倒なことをする価値があるとは思えませんね。

開発担当の方には申し訳ありませんが、顧客満足度という点で、この機能は疑問符をつけざるを得ない気がします。

 

6.総評

発売から10年近く経ったPowerDVD。
バージョン8になり、さらなる高画質、高機能を目指し進化し続ける姿勢は素晴らしいと思います。

今回のバージョンでは、PowerDVD 7と比較してSD映像に対する画質向上が見られ、この点においてバージョンアップする価値はあると思います。
ただし、今回に限らずPowerDVDは要求スペックがどんどん上がっていくソフトであり、今までDVD再生できていた、という程度のPCでは正直ソフトが重過ぎるのではないかとも思います。
またMovie Remixなど、需要の少なそうな機能が搭載されるなど、高機能が変な方向に向かっている感も見受けられます。

円熟したソフトだけに、バージョンアップの企画は難しいものがあると思いますが、メディアプレイヤーとしての本質を追及しつつ、今後もがんばって頂きたいと思います。

#サイバーリンク様、ソフトウェアの提供ありがとうございました。